医療施設関連の特殊空調   工業系施設関連の特殊空調



有機溶剤暴露防止ための特殊空調システム構築の背景

有機溶剤暴露対策としての空調システム工事
有機溶剤とは物を溶かす属性のある物質の中で、炭素や水素の有機性の化合物で構成されている溶剤(ソルベント)の意味で、この有機溶剤を頻繁に使用する作業現場では有機溶剤の揮発により、作業者が暴露するリスクの高い環境があります。

有機溶剤を慢性的に暴露し続けることによる人体に及ぼす悪影響は既に厚生労働省や経済産業省も公式に認定しており、近年は両省庁ともに法令や省令の改訂を通じて労働者の安全管理の指導の徹底化を推進しています。

エンコーポレーションでは、有機溶剤を頻繁に使用する作業環境における環境改善を前述の背景をベースにして、お客様の作業環境の改善と維持を特殊空調技術を通じてサポートさせていただきます。
私どもの定義する特殊空調技術とは、単に局所排気システムやプルプッシュ型の排気システムを提案することではなく、お客様の現場の空調システム全体から何がお客様にとって最適なのかを安全面、運用面、コスト面を総合して調査・ご提案させていただきます。
お陰さまでこれまで、多くのお客様から有機溶剤暴露対策としての空調システム工事を受注しております。

一般的な有機溶剤取り扱い現場

有機溶剤等の製造、染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬 品、ゴム等の製造、印刷、文字書き、描画、つや出し、防水加工、接着剤塗布、洗浄、払拭、塗装など

有機溶剤中毒予防規則による分類

有機溶剤中毒予防規則では、54種類の有機溶剤について中毒の発生を防止するために諸規定が定められており、その物性等を考慮して次の3つのグループに分類されています。
【第1種有機溶剤等】
単一物質で有害性の程度が比較的高く、しかも揮発性が高いもの。

クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、トリクロルエチレン、二硫化炭素
※上記に掲げるもののみから成る混合物
※上記に掲げるものとそれ以外の物との混合物で5%を超えて含有するもの


【第2種有機溶剤等】
単一物質で有害性や揮発性がそれほど、高くないもの。

アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテー、 エチレンクリコールモノブチルエーテル、エチレンクリコールモノメチルエーテル、オルトジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、 酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロルメタン、ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトン
※上記に掲げるもののみからなる混合物
※上記に掲げるものとそれ以外の物との混合物で5%を超えて含有するもの


【第3種有機溶剤等】
多くの炭化水素が混合状態となっている石油系溶剤及び 植物系溶剤であって、沸点がおおよそ200℃以下のもの。

ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット

有機溶剤暴露による健康被害

【急性中毒】
高濃度の揮発性有機溶剤を呼吸器系統から吸い込むことにより、急性中毒に陥る可能性があります。この急性中毒が特に怖いポイントは意識を失って倒れても、そのまま揮発性有機溶剤を吸入し続けることにより、救助されなければ死亡する危険性が大きいことです。また、有機溶剤は概して不快な悪臭を放つものは少ないため、油断して軽率に扱うことで場合によっては、大量に吸入してしまい死に至るリスクがあります。

【慢性中毒】
慢性中毒は比較的濃度の低い揮発性有機溶剤を長期間吸入することにより起こります。慢性中毒になると、「疲れ易さ」「だるさ」「頭痛」「目眩」などの症状がでます。 具体的には以下の障害の原因となります。
  例)肝臓障害、腎臓障害、貧血、皮膚や粘膜の炎症など


労働安全衛生法

有機溶剤の取扱に関しては、作業者の安全と健康に悪影響を及ぼさないようにする ための法令や規制があり、その代表的なものに「労働安全衛生法」があります。この中では、安全衛生管理のための組織として総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、作業主任者などの人を選任することが決められています。また、有機溶剤に直接関係があるものに「有機溶剤中毒予防規則」があり、次の具体的な項目に関して細かく規定されています。 有機溶剤暴露対策としての空調システム工事

  1. 有機溶剤を取り扱う時の設備
  2. 換気装置の性能
  3. 有機溶剤の管理方法
  4. 作業環境測定
  5. 健康診断
  6. PPE(個人用防護具)
  7. 有機溶剤の貯蔵方法・空容器の処理
  8. 有機溶剤作業主任者

揮発性有機溶剤の除去方法

揮発した有機溶剤が空気中に拡散する前に除去する代表的な方法としては、
    「局所排気」 と
    「プッシュプル換気」 があります。
「局所排気」というのは、有機溶剤が発散する場所にフード(空気の吸い込み口)を取り付けてファンで汚染空気を吸引し、そこから排気ダクト(管)を通じて排気口から屋外に出す排出する方法で、
また「プッシュプル換気」というのは、普通の局所排気装置のフード(プルフード)の真正面に対照的な もう1つのフード(プッシュフード)を取り付け、両フード間にゆるやかな層流(Laminar Air Flow)を発生させることで、揮発性有機溶剤をプルフードのほうに押し流して排気する方法です。
しかしながら、これらの排気システムは全体空調システムを把握していてはじめて、その効果を発揮することは、これまで、多くのお客様の現場から経験してきています。


揮発性有機溶剤を希釈するための全体換気

たとえ前述の局所排気やプッシュプル換気用のシステムを設置したとしても、実際の現場における揮発性有機溶剤は、絶えず作業現場に拡散し続けています。このため、作業空間全体において作業現場の汚染空気を室外の新鮮な空気と入れ替える「全体換気」という方法で、揮発した有機溶剤を管理規定濃度に希釈し続ける必要があるのです。


法令で定められた作業環境の管理区分

法令では、「第1種有機溶剤」と「第2種有機溶剤」を扱う屋内作業場について半年 (6ヶ月)ごとに環境測定士による定期的な空気中の有機溶剤の濃度を測定することが定められており、その評価は以下に記載する管理区分でなされます。

【第1管理区分】
作業現場状態: この単位作業場所のほとんど(95%以上)の場所で気中有害物質の濃度が管理濃度を超えない状態。
管理義務: 現在の管理の継続的維持に努める。
【2管理区分】
作業現場状態:この単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない状態。
管理義務:施設、設備、作業工程または作業方法の点検を行ない、その結果に基づき、作業環境を改善するため必要な措置を講ずるよう努める。
【第3管理区分】
作業現場状態:この単位作業場所の気中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えている状態。
管理義務:施設、設備、作業工程または作業方法の点検を行ない、その結果に基づき、作業環境を改善するため必要な措置を講ずる有効な呼吸用保護具の着用健康診断の実施その他労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講ずる。

有機溶剤用PPE(個人防護具)の必要性について

有機溶剤の暴露による健康障害を防止するための対策としては、第一義的には空調設備などのエンジニアリングコントロールなどで作業環境の改善を行うことでありPPE(個人用防護具)を用いるのは、作業環境対策が技術的に困難である作業や臨時的に行う作業などの場合に限るべきであり、設備としての作業環境改善と運用としてのPPE(個人防護具)を併せて初めて効果的な有機溶剤暴露防止対策と言えます。

Respiratory PPE (Personal Protective Equipment : 呼吸器系統用個人用防護具)

  • 目的:有機溶剤を吸入することによる健康障害の防止
  • 種類:有機ガス用防毒マスク、送気マスク、空気呼吸器、PAPR、活性炭マスクなど

PPE (Personal Protective Equipment : 個人用防護具)

  • 目的:皮膚接触による吸収・皮膚障害の防止・眼の保護等
  • 種類:カバーオール、グローブ、セーフティアイウェア(防護眼鏡)等

化学物質を安全に取り扱うための取り組み・法令・規定などの最新詳細情報


化学物質を安全に取り扱うための取り組み・法令・規定などの最新詳細情報


厚生労働省から暴露防止強化のための指定予定8品目の化学物質についての最新情報が公表されています。



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